六ヶ所コーナーが新しくなりました!
↓六ヶ所再処理工場に関するページをリニューアルオープンしました↓
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再処理工場の問題点・核燃料サイクルに関する基礎知識がわかります。
そのほか参考書籍や六ヶ所関連のリンクなどなど。
ぜひご活用ください。
Citizens’ Nuclear Information Center
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放射能災害の危険性、放射性廃棄物のあと始末のやっかいさ、核兵器への転用のおそれ……。多くの問題を抱えた原発の廃止は、できるだけ早く実施される必要があります。原発のある地域や原子力産業の労働者の暮らしなども視野に入れ、脱原発の具体策を考えます。
【再処理・プルトニウム利用は即刻廃止】
原 発の使用済み燃料を再処理し、プルトニウムを取り出して使用する計画は問題をより複雑にし、危険性を大きくするだけです。核開発への危惧をなくし、国際的 な摩擦を回避するためにも、まず再処理のストップを!東海再処理工場(茨城県)の運転停止、六ヶ所再処理工場(青森県)の中止を訴えます。
【放射性廃棄物の管理は発生者の責任で】
放射性廃棄物の発生者が最後まで責任を持ち、管理していくことを求めます。安易に地下に埋め捨てて、責任を逃れようという「地層処分」は無謀です。後の世代への「負の遺産」を少しでも小さくするにはどうしたらいいか真剣に考える必要があります。
【エネルギーの使いすぎの危険から脱却を】
エ ネルギーの浪費が地球環境に深刻な影響を与えています。エネルギーの生産のしかた、利用のしかたを効率のよいものとし、分散化をすすめ、無駄を省いていく ことは十分に可能です。自然エネルギーの利用は、消費の削減につながるエネルギー生産技術として、大きな意味を持ちます。地球温暖化防止のために二酸化炭 素の削減が求められていますが、原発の推進ではこの削減はできません。エネルギーの浪費を減らすことこそがCO2 削減の途です。
【原発輸出は許されません】
国内で原発が作りにくくなったメーカーは、輸出をねらっています。海外への危険の押し付けに反対します。
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1999年9月に特定非営利活動法人(NPO)の認定を得たことで、新しい一歩を踏み出しました。これを機会に脱原発をめざす市民のための市民の機関としての役割を、いっそう確実に果たしていきたいと考えています。
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梅田さんの労災、不支給決定
30年前に島根原発と敦賀原発で定検工事に従事し、心筋梗塞で労災申請していた梅田隆亮さんに、島根労働基準監督署は9月14日、福岡労働局にて補償の不支給を通知した。
梅田さんは、敦賀原発での作業終了後のホールボディカウンター(WBC)測定で2247カウント(通常の3倍)が検出された。長崎大学医学部のWBC精密 測定で、ふつうは体内にないはずのコバルト57・58・60、マンガン54、セシウム137といった放射性核種が検出された。梅田さんを診察した長崎大学 医学部国際ヒバクシャ医療センターの医師の所見には、「…当時、悪心、全身倦怠感、易出血性などの症状があり、病院の検査で白血球減少を指摘されたそうで すので、急性放射線症候群に近い被曝があった可能性は否定できません。心筋梗塞の発症は(諸要因に加え)1979年当時の被曝が関与している可能性は否定 できない」(要旨抜粋)と記載されている。
電離放射線障害の業務上外に関する検討会の報告書には、WBCによる測定・評価について「有意な被ばくは認められていない」、としている。梅田さんは今回の決定を「納得できない」として島根労働局に審査請求の手続きを取ったという。
梅田さんは2月の厚生労働省への申し立てで、被曝した敦賀原発の現場の再調査を強く求めた。また、労働基準監督署の聞き取り調査などがどのようなかたちで まとめられ検討会に提出されたのかを確認するため情報開示を求め続けてきた。しかし、その資料は未だに梅田さんの元には届いていない。
梅田さんが働いた1979年当時は、労働者の被曝線量が最も高い時期でもあり、またその実態は闇の中にある。必ず、明らかにしなければならない。
(報告:渡辺美紀子)
↓ これまでの梅田さんに関する記事 ↓
きびしい原発被曝労働者の実態を明らかにし、救済に取り組もう!
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=943
被爆労働: 梅田さんの申し立てに対する聴取
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=905
梅田さんの労災認定、いまだ決まらず 追加要請書と質問書を提出
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=896
梅田さんの労災認定、いまだ決まらず 追加要請書と質問書を提出
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=886
厚生労働省、労働基準監督署宛て申し立て
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=881
労災認定の枠をさらに拡げるために「本省に直接訴えたい」梅田さんの思いを実現させよう
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=877
多発性骨髄腫、悪性リンパ腫が疾患リストに例示される さらに、労災認定の枠を拡げよう
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=863
白血病、がん以外の病気でのはじめての検討 梅田さんの検討会はこれから
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=849
30年目の真実、死亡扱いされていた原発親方
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=843
被曝労働に関する動き
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=838
核軍縮に関心を寄せるメディア・報道関係の皆さまへ
アボリション2000グローバル評議会が日印原子力協定に「懸念」の書簡
本日9月13日、世界的なNGOネットワークである「アボリション2000」のグローバル評議会が、日印原子力協定の交渉を見直すことを求める書簡を、 日本の菅首相・岡田外相・直嶋経産相の3者に送付しました。書簡は、「日本によるインドとの原子力協力は、日本の核軍縮・不拡散へのリーダーシップをとる という主張を傷つけ、南アジアにおける核軍備競争を悪化させる」とし、「日本政府がインドとの核貿易を認めないという自らの長年にわたる政策を逆転させて しまうべきでない」と述べ、日本政府がインドとの原子力協定交渉を「見直すよう要請」しています。
その根拠として書簡は、「インドはい まだ包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名しておらず、核分裂性物質の生産を続け、核兵器を増強して」いること、また同国が「核不拡散条約(NPT)に かつて一度も署名していない3カ国のうちの1カ国であり、核軍縮を達成するという法的拘束力ある誓約を行っておらず、国際原子力機関(IAEA)による包 括的フルスコープ保障措置を受け入れることを拒んでい」ることを指摘しています。
書簡はさらに、インドを特例扱いにすることによる「二 重基準の悪影響」は、中国のパキスタンへの原子力協力へも波及すると警告しています。インドやパキスタンに供給されるウランや核燃料が、仮にそれ自体とし ては「保障措置下の原子炉」向けのものであったとしても、それによって「保障措置下にない施設において兵器目的で濃縮ウランやプルトニウムを生産する能力 を高める」危険性があるとして、原子力協力と核兵器の関連性を指摘しています。その結果、「南アジアにおける核軍備競争を悪化させる」と書簡は主張してい ます。
また、インドやパキスタンに対する核関連輸出は、先の5月のNPT再検討会議の最終文書で合意された「行動35」にも違反するとも書簡は指摘しています。
書簡は、日豪政府のイニシアティブである国際有識者会合「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)」が7月の声明で、インドへの例外化決定に際しての条件が甘いと「懸念を表明」している事実にも言及しています。
これらのことから、書簡は「日本がインドとの原子力協力のための二国間協定の交渉を行うことに正当性はない」と結論づけています。
※アボリション2000は、核兵器廃絶のための地球規模の条約をつくることをめざして活動する全世界2000以上の団体のネットワークです。今回の声明は、その「グローバル評議会」が発したものです。詳しくは↓
http://www.abolition2000.org
川崎哲
Akira Kawasaki
〒169-0075 東京都新宿区高田馬場3-13-1 B1
ピースボート
Tel: 03-3363-7561
菅直人 総理大臣
岡田克也 外務大臣
直嶋正行 経済産業大臣
日本とインドの原子力協力に関するアボリション2000ネットワークからのアピール
(仮訳。原文は英語)
本年6月28日、日本政府はインドとの原子力協力のための二国間協定締結をめざした交渉を開始しました。アボリション2000グローバル評議会注1は、日本によるインドとの原子力協力は、日本の核軍縮・不拡散へのリーダーシップをとるという主張を傷つけ、南アジアにおける核軍備競争を悪化させるものと考えます。私たちは、この交渉を進めるという貴政府の決定を見直すよう要請します。
2008年9月6日、原子力供給国グループ(NSG)は、インドを、それまで核物質・機材・技術の同国への移転を禁じてきた核輸出ガイドラインの規定から 除外することに合意しました。その例外化決定の直前に、アボリション2000米印原子力協定作業グループが準備し24カ国150以上の幅広い専門家および 非政府組織が署名した国際書簡注2が、NSG加盟国に提出されました。その国際書簡は、インドによる誓約は、国際的な不拡散の規則および規範への大幅な例外化を正当化できるものではないと指摘しました。
この国際書簡によって表明された懸念は、今日においてもあてはまるものです。インドはいまだ包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名しておらず、核分裂性 物質の生産を続け、核兵器を増強しています。同国は、核不拡散条約(NPT)にかつて一度も署名していない3カ国のうちの1カ国であり、核軍縮を達成する という法的拘束力ある誓約を行っておらず、国際原子力機関(IAEA)による包括的フルスコープ保障措置を受け入れることを拒んでいます。
NSGの例外化決定がつくりだす二重基準の悪影響は、例えば、中国がパキスタンに二基の原子力発電所を追加輸出するかもしれないという最近の発表によって 示されています。パキスタンまたはインドに対して、保障措置下にある原子炉のためにウランや核燃料を供給することは、それぞれの国が、保障措置下にない施 設において兵器目的で濃縮ウランやプルトニウムを生産する能力を高めることにつながります。その結果、インドおよびパキスタンとの原子力協力は、南アジア における核軍備競争を悪化させます。
NSGの例外化決定があったとはいえ、インドやパキスタンとの原子力協力は、不拡散の義務と規範に 反するものです。2010年NPT再検討会議の最終文書における行動35は、「すべての国に対して、核関連輸出が核兵器または他の核爆発装置の開発を直接 または間接に援助することのないようにすること、またそのような輸出が本条約の目標と目標…ならびに1995年のNPT再検討延長会議で採択された…諸決 定および原則と目標と完全に合致するようにすることを要請」しています。1995年のNPT会議の決定は、IAEAによるフルスコープ保障措置を核供給の 条件とするという内容を含んでいます。
これらの理由から、私たちは、日本政府がインドとの核貿易を認めないという自らの長年にわたる政策を逆転させてしまうべきでないと考えます。
NSGによる例外化決定の後まもなく、当時の麻生総理は「(インドとの原子力協力に関する)国民の合意を得るには時間がかかるだろう」と述べました。政府 の最近の決定に対する反応をみれば、日本国民がインドとの核貿易に同意するにはまだほど遠いということが明らかです。被爆者、広島・長崎市長、NGOなど が抗議声明を発しており、これは日本の市民社会がもつ核廃絶へのリーダーシップの長い伝統を示しています。日本政府はその国民の前で、同様のリーダーシッ プを発揮する責務を負っています。
報道によれば、フランスと米国の政府および産業界の代表らが、日本政府に対してインドとの二国間協定 を締結するように働きかけてきたとのことです。日本自身の原子力産業もまた、インドへの核輸出を勝ち取ることに熱心です。しかし、日本政府が核軍縮・不拡 散へのリーダーシップをとるという自らの主張について誠実であるならば、商業的利益のために長く保持してきた原則を犠牲にするべきではありません。
オーストラリアと日本政府の共同イニシアティブである核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)は、本年7月にウィーンで開かれた最終会合にて、以下のように、NSGによるインドの例外化決定に関する懸念を改めて表明しました。
「…本委員会は、NSGがインドの核計画に関して例外化を認めた際の条件に関する懸念を改めて表明する。例外化決定にあたり、NSGは、軍縮と不拡散の目 標および措置に関して新しい誓約を求めなかった。NPT非加盟国に対する将来の核供給については、少なくとも、受領国が核実験を行わず、核分裂性物質の生 産禁止が発効するまでの間は兵器用の核分裂性物質の生産を一時停止するということが条件付けられなければならないというのが、引き続き、本委員会の見解で ある。」注3
ICNNDのこの最小限の条件で十分であるかどうかについて意見は分かれるところです。しかし、インドはこれらの条件さえ受け入れないと見られていることから、日本がインドとの原子力協力のための二国間協定の交渉を行うことに正当性はないといえます。
2010年9月13日
アボリション2000グローバル評議会
注1:アボリション2000は、核兵器を廃絶する地球規模の条約をつくるために活動している90カ国2000以上の団体の地球的ネットワークである。
注2:「インドとの原子力協定、決断の時–核拡散の危機回避にご助力を–」2008年8月15日、NSG加盟国外相らに送られた国際書簡
http://www.cnic.jp/modules/abolition2000/index.php?content_id=3
注3:核不拡散・核軍縮に関する国際委員会 ウィーン・コミュニケ(2010年7月5日)第20節
http://www.icnnd.org/releases/100705_vienna_communique.html
連絡先(アボリション2000事務局)
The Rideau Institute, Abolition 2000 Secretariat
63 Sparks St., Suite 608, Ottawa ON, K1P5A6, Canada
tel: +1-613-565-9449
http://www.abolition2000.org
英語のプレスリリースのリンク:
http://www.cnic.jp/english/topics/international/nukecoop/japanindia-ab-13sep10mr.html
英語の書簡のリンク:
http://www.cnic.jp/english/topics/international/nukecoop/japanindia-ab-13sep10.html
2010/9/13 日印原子力協力交渉に異議あり
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=944
2010/6/29 日印原子力協定は核拡散に加担するもの
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=928
2010/4/30 日・インド原子力分野の協力に向けた協議に反対する要望書
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=911
◎ 『核不拡散・核廃絶』のページ
http://cnic.jp/modules/nonproliferation/
▼ Pan Orient News NGO Hits Japan-India Nuclear Negotiations
▼ ICNND日本NGO市民連絡会
核 不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)日本NGO・市民連絡会は、「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)」が世界が核廃絶への道 筋を着実に歩んでゆくための提言を生み出すことを願いつつ、市民社会からの参画と協力を拡大することを目的に2009年1月25日、東京で発足しました。
→→ホームページ
日印原子力協力交渉に異議あり
日印原子力協力協定の締結に向けた交渉は、6月 28,29日に東京で始まった。続いて8月21日、ニューデリーで岡田外相がクリシュナ外相と「戦略対話」を行なった。再び核実験をした場合は協力を停止 する規定の盛り込みを、と岡田外相が表明したのに対し、インド側は強く反発したという。
そうした規定は、アメリカも米印協定に明記しようとして 失敗した。日本の外務省は「協定締結によってインドを核不拡散体制に取り込むことができる」というが、インドにとって核大国アメリカの協力より被爆国日本 の協力のほうが政治的に重いと思わせることができるだろうか。おまけにビジネス一辺倒で足を引っ張る経済産業省を身内に抱えながらの交渉だ。
経産 省内では岡田発言を聞いて「日本は協定を結ぶつもりはないと、インド側に受け止められかねない」との声があがったそうだ。しかし、核実験時の協力停止など とは、最低限の条件ですらない。核不拡散体制への取り込みからは、かけ離れていよう。仮に日本からプラントや資機材が輸出されるとして、それらが例外なく 「民生用」の施設でのみ使われるとの保証さえ、日本側から求められていそうにない。
インドは既に核兵器を持っているのだから核拡散を気に病む必 要はない、とも聞く。しかし、単に持っていることと、核兵器国として国際社会に認知されることでは大きな違いがある。また、エネルギー供給を「民生用」の 施設にゆだねることで核兵器の高度化や保有数の拡大が保障され、いわゆる「タテの拡散」がすすむことになる。「民生用」の燃料供給を受けられればウラン不 足が解消、国産ウランを軍事用にまわせる。
「ヨコの拡散」についてみれば、核開発疑惑国への他の国の協力を正当化することにもなるし、何よりも 核を持ってしまえば他ならぬ日本ですら容認して協力してくれるというメッセージを送ることになる。さらに、核を持ってよい国があると認めることは、日本も 核を持ってよいとの論理につながる。日本はそうするつもりだと考えて対抗しようとする国があるかもしれない。
いずれにせよ、核不拡散体制に大きな影響を与える日印原子力協定の締結交渉が、「平和利用の番人」をもって任ずる原子力委員会の意見を聞くこともなく開始され、同委員会があわてて後追いの見解をまとめるというのは、許されざる事態である。
おまけにつけ加えれば、期待されているビジネスの行方も相当に怪しい。インド自身も重電企業を抱えている。本流はトリウム・サイクル路線だ。商機がどれだ けあるのか。協定への盛り込みはどうあれ問題が起これば、協力は解消されざるをえない。メーカーにも責任を転嫁できる原子力損害賠償法の下でのリスクは、 と考えてみれば、答は自ずと出てきそうだ。
(西尾漠)
『原子力資料情報室通信』第435号(2010/9/1)より
きびしい原発被曝労働者の実態を明らかにし、救済に取り組もう!
私たちは、これまで原発被曝労働者本人に放射線管理手帳がわたされていないなど、放射線業務従事者の法的管理がなされていないことの不備を訴えてきた。 2008年に、(社)日本原子力産業協会に「原子力・放射線従事者の被ばく管理システム検討委員会」ができ報告書がまとまったという情報を得たので、さっ そくその報告書を入手したい旨を同協会に伝えたが、「まだ、公開できる段階ではないので、お待ち下さい」とのことだった。
今年7月1日、日本学 術会議(金澤一郎会長)は、キャリアの多様化に対応した放射線作業者の生涯を通しての被曝に対するリスク管理は必須であるという観点から、原子力施設、工 業施設などあらゆる原子力・放射線利用施設の領域で業務に従事する全放射線作業者の業務上の被曝線量を包括的に把握できるような制度の導入などを国に求め た報告書をとりまとめ、「提言 放射線作業者の被ばくの一元管理について」( http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-t99-1.pdf )を発表した。
その直後にようやく原産協会も、08年6月にまとめた「放射線業務従事者の一元的な個人被ばく記録管理システム構築に係わる報告書」( http://www.jaif.or.jp/ja/kisei/rad_ichigen-kanri_report201006.pdf )を公表した。
原子力関連施設の従事者に関しては、(財)放射線影響協会の放射線従事者中央登録センターが、原子力事業所から登録されたデータに基づき、下表を公表して いる。経済産業省原子力安全・保安院が公表したデータでは年間20ミリシーベルト以上の被曝は存在しないとなっているが、複数の原発での被曝を足し合わせ た個人データの集計では、7名が20ミリシーベルトを超えている。
ある会合で、放射線評価の専門家から「原子力発電所はきれいで、被曝量も特別 に大きいとはいえない」という発言があった。被曝したくないからと、電力会社や元請けのプラント会社の社員は現場にはまったく入らず、総被曝線量の96% を超える被曝を下請け労働者が負っている現実を、この人は知らないのだろうか?と、憤りを感じた。
医療・工業・研究教育従事者は原子力従事者よりもっと高い被曝をしているという声もあるが、年間5ミリシーベルトを超える被曝をしている従事者の割合は、原子力6.8%、医療1.1%、工業0.4%、研究教育0.1%である。
梅田さんの労災、未だ結果届かず
約30年前に島根原発と敦賀原発で定検工事に従事し、心筋梗塞で労災申請している梅田隆亮さんのことは、これまでにたびたび本誌でお伝えしてきたが、未だに結果は梅田さんのもとに届いていない。
厚生労働省から、梅田さんについての「電離放射線障害の業務上外に関する検討会」(2010.3.8、4.28、6.1、7.7)は終了したとの知らせがあった。
梅田さんは労働基準監督署の聞き取り調査や申し立てで主張したことがどのようなかたちでまとめられ、検討会に提出されているかを確認したいと、2月8日の 厚労省への申し立てでも強く訴えた。6月18日、厚労省から「検討会での検討状況について、書面で求めます」という文面の書式が梅田さんのもとに送られ、 梅田さんは求められるまま署名捺印し返送したそうだ。書類の到着を心待ちにしていた梅田さんに、6月23日、結論を出すまでにはまだ時間がかかるという内 容が届く。その後8月25日現在に至るまで、梅田さんのもとに結論はおろか、開示請求している資料すら届かないままである。
沖縄から日本全国の 加圧水型原発の定期点検現場の放射能漏れ検査にたずさわり、累積100ミリシーベルトを被曝し、2005年3月、53歳の若さで悪性リンパ腫で亡くなった 喜友名正さんの申請は、「例示されていない病気である」との労基署の勝手な判断で06年9月、不支給決定されてしまった。
その後、お連れ合いの末子さんが「夫の病気は、原発での被曝による以外のなにものでもない」という強い信念のもと、全国からの支援で15万筆を超える署名を集め、ようやく08年10月、労災が認定された。
3年間、極度の緊張状態にあった末子さんは、昨年の夏ついに体を壊して仕事ができない状態になってしまった。定年まで仕事を続けたいと願っていたが長期休 職後、末子さんは退職せざるをえなかった。夫の正さんが闘病中、「病気が直ったら、農業をしたい」と言っていたのを想い出し、家庭菜園をはじめて徐々に元 気を取りもどしたそうだ。
今年になって、末子さんからバナナやマンゴー、ゴーヤなどすばらしい収穫物が私たちのもとに届いた。「今でも涙が止まらなくなることもあるけど、全国のみなさんが支援してくれたことを思うと元気を取り戻すよ」と、以前よりも元気な声だった。
放射線作業者が従事中も退職後も、さまざまな病気になったとき、被曝との関係を示す資料なども掲載し、健康診断も受けられる「健康管理手帳」の交付を法的に定めるなどの制度が必要だ。
これらのことをどのように実現させていくか、そのための運動のありかたなど、全国のみなさんとともに取り組んでいきたい。
(渡辺美紀子)
原子力資料情報室は、原子力に依存しない社会の実現をめざしてつくられた非営利の調査研究機関です。産業界とは独立した立場から、原子力に関する各種資料の収集や調査研究などを行なっています。
毎年の総会で議決に加わっていただく正会員の方々や、活動の支援をしてくださる賛助会員の方々の会費などに支えられて私たちは活動しています。
どちらの方にも、原子力資料情報室通信(月刊)とパンフレット(一年あたり数冊)を発行のつどお届けしています。
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