福島第一原発事故で東京電力が被害者に対して賠償金を支払うためのスキーム(仕組み)が、来週中にも発表される。
これは、まず東京電力の自己資金を賠償に当てた上で、東京電力が債務超過に陥りそうな場合は、国債と電力会社、金融機関からの融資によって作られる新機構が資金支援を行うというもの。
経済ジャーナリストの町田徹氏は、このスキームは事故の賠償を電気代で賄おうとするとんでもない案だと、これを厳しく批判する。町田氏の試算ではこのスキームの結果、東京電力管内に住む人ひとりにつき、約1万6700円の電気料金の値上げにつながる可能性が高いという。
東京電力には、1兆8000億円もの利益剰余金や約1兆2000億円の使用済み燃料再処理等引当金がある。町田氏は、東電はまずこれらの資金を使って、 メキシコ湾重油流出事故の際にイギリスの石油会社BPがファンドを立ち上げたように、事故対策と補償の為の基金を立ち上げることが、地域独占企業である東 京電力の責任ではなじかと主張する。
さらに町田氏は、今回の政府案は、財務省や経済産業省、それに融資資金の回収をしたい金融機関の思惑が合致した結果できた、それぞれの思惑と妥協の産物だと言う。
今週のニュース・コメンタリーでは、東京電力の賠償スキームの評価について、経済ジャーナリストの町田徹氏とともに神保哲生と萱野稔人津田塾大学准教授が議論した。
(経済ジャーナリスト)
1960年大阪府生まれ。84年神戸商科大学(現兵庫県立大学)商経学部卒業。同年、日本経済新聞社入社。02年退社。同年、選択出版社に入社。03年よ りフリー。10年より甲南大学マネジメント創造学部外部講師を兼務。著書に「日本郵政 解き放たれた巨人」、「巨大独占NTTの宿罪」など。
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